続々と新しい施設ができ、新航路も予定していることで何かと話題になっているのが羽田空港です。羽田新飛行ルートというキーワードも聞かれるようになりました。
羽田エアポートガーデンという巨大な複合施設や、隣接する羽田イノベーションシティなどは、喜びをもって迎えられていると言えます。
しかし、歓迎や喜びの声ばかりではありません。特に羽田空港の離発着数を増やすために、今までは利用されていなかった東京23区都心部の上空ルートが決定されたことについて、様々な議論が巻き起こりました。
ここでは、新航路やその影響について紹介しましょう。
羽田空港新航路(羽田新飛行ルート)とは?
2020年の3月29日から利用が決定しているのが、新航路です。今までよりも低飛行で都心部の上空を飛ぶことになるため、騒音・落下物・不動産価格への影響などが心配されています。
新航路では、南風の時と北風の時の2種類が決定されています。
新国立競技場の前を5分間で4機くらいが南東方向に飛来してきたから何事か、と思ったら羽田空港新航路の実証実験のようです。
経済効果6500億というからすごい! pic.twitter.com/HhgINbmSJf— ོしばはぱば (@LynnSiva) February 7, 2020
- 北風時・・・江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区
- 南風時・・・品川区、港区、目黒区、渋谷区、新宿区、中野区
北風の時の新航路には朝の時間帯が含まれる上、運航割合は6割となっています。1時間あたり最大23回ということで、約3分毎に飛行機が通過する計算ですね。
運行時間帯は朝の7時から11時半、夕方15時から19時のうち3時間程度、となっています。今まで騒音とは無縁だった場所で、例えば夜勤明けで寝ている方や幼児たちのお昼寝時間とはかぶってしまいますね。
南風の時の新航路では2種類あり、それぞれ1時間あたり14回の飛行が予定されています。運航予定時間帯は夕方15時から19時のうち3時間程度で、運用の割合は4割です。
議論されている影響とは?
全米レベルの調査「(心血管系にかぎるが)55デシベルを超える騒音での入院リスクは高まる。入院者は55デシベルを超える騒音がある地域に多く、その原因のうち2.3%は明らかに飛行機騒音である。」#羽田新ルート #羽田新ルート反対 https://t.co/dQjruoMSa8
— Haruko (@Harunaga1129) February 14, 2020
新航路の影響で考えられるのは、まずは騒音ですよね。
飛行機の離発着時の音は凄いものがあります。飛行試験をした結果、例えば新宿での騒音は約70㏈で、これは布団叩きや電話のベルの音程度とされています。
2分毎に布団叩きの音、電話の音が鳴り響くとなれば、確かにかなり気になるでしょう。窓を閉めておけばさほどではないかもしれませんが、季節が良ければ窓は開けっぱなしというのが自然ですので、ストレスがたまりそうです。
実際に関西の大阪では伊丹空港があるため、東京羽田の新航路よりももっと低空で街の上を飛んでいます。
住民は慣れていますが、出張で新大阪にきた方などはまず飛行機の音にびっくりして駅のホームで空をみあげているほどには大きな音です。
伊丹空港周辺の家の窓は2重窓ですし、学校などの施設にはクーラーが設置されています。騒音の影響はかなり大きいでしょう。
そして、落下物問題ですね。
落下物にはいろいろある。LCCがない時代から問題になっていたが、最近はLCCの拡大で、ますます航空機が増え、整備士の数も間に合わず、整備を委託したり、航空料金を下げるために劣悪な労働条件に置かれている事実もある。落下物は防げない!!#羽田新ルート反対 #羽田新ルート pic.twitter.com/POzFwXC7ls
— Haruko (@Harunaga1129) February 15, 2020
飛行機そのものが落ちてくるという大惨事は別として、普段あり得る落下物は、飛行機の部品や水排出菅に出来てしまう氷です。
大阪では関西国際空港を離陸した飛行機から4kgの部品が落ち、国道を走行中の自動車に直撃するという事がありました。幸いにも運転手や通行人はみんな無事でしたが、これは奇跡的なラッキーだったわけです。
これが例えば人で溢れかえる都心部であれば、誰もケガなしというのは考えられません。
ちなみに国土交通省ではこの議論を受けて、部品の取り付け方法の改善や、給水口に凍結防止ヒーターを取り付けるなどを実施しています。
都心の不動産価格が下落?
新航路の影響で考えられる「騒音」と「落下物」から間接的に影響を受けるのが、不動産価格です。
特に富裕層への影響が強く出る、と言われており、その理由は以下の2つです。
- 新航路の影響下には富裕層の居住エリアが多い
- 富裕層が住むタワーマンションが林立している
特に現代の問題であるのが、林立しているタワーマンションです。タワーマンションは大体が50階建てほどで、高さにして190メートルほどになります。
つまり、最上階に住んでいれば、地面からの距離よりも上空を飛ぶ飛行機までの距離の方が近くなるのです。
高層階であればそもそも窓を開けること自体がないとは思いますが、部屋にいても騒音の影響を受ける立地ということになり、わざわざ大金を出して買おうとする人が減るのは自然な流れでしょう。
ちなみにこの懸念に対し、国土交通省は「不動産価値は様々なものが絡み合って決定するため、航空機の飛行との因果関係を見出すことは難しい」と述べています。
コメント